焚き火を囲んで組織開発を学ぶ “新たな「チームビルディング」と「オフサイト合宿」のすすめ

2月6日(金)に、東京大学中原淳先生と株式会社エバーブルー/日本焚火効果研究所の丸山琢真さんによる焚き火ワークショップに参加しました。

中原先生はアウトドア好きだとは思っていましたが、焚き火好きでもあったのですね。こういう一見、意味が良くわからない(!?)けれど、体感してみると自ら気づくワークショップは、ワクワク感があって私は大好きです。焚き火を題材にどのように組織開発について学ぶのか、興味津々で参加しました。他の参加者も、このような挑戦的な内容のワークショップに参加するくらいなので、個性の強い方々が集まっていたような気がします。

集合場所は、新木場駅から徒歩15分程度の東京スポーツ文化会館剣道場。このあたりがいわゆる夢の島。以前はごみの埋め立て地だったことは聞いたことがありますが、広い公園なっており緑も多く小鳥たちのさえずりも聞こえる場所でした。

はじめに、中原先生によるイントロダクション。主催の経営学習研究所についての紹介がありました。経営学習研究所は、研究者と実務家が手弁当でお金を出し合って非営利目的で設立した一般社団法人であり、人材開発や人材育成の面白さを広めるために、何か楽しいことをやりたいから立ち上げたとのこと。※私もそういう場を作ってみたいし、加わってみたいです。

次に、組織開発と焚き火の関係についてのお話がありました。

まず、組織開発とは、ワンワードでいえば、(1) きっかけ+(2 )対話+(3) リフレクションによる組織をWORK(機能)させる試みのこと。人を集めただけではチームしてまとまらない組織においては、WORKさせる何かが必要である。

そして、焚き火です。フランス社会学者のデュルケムの聖俗二元論、「ケガレ」と「ハレ」の話や、日本の宴会のもともとの起源などの話をひきながら、炎は昔から集団と切って離せないものであり、炎を囲んで共食・共飲+集団形成には微妙な関係がある。それがなくなってきている。

この2つをあわせて、(1) 焚き火を囲んで組織開発を体験・学ぶこと、(2) 焚き火のもつそのものの効果を考えることが本日のテーマですとの説明がありました。 

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次に、丸山琢真さんにバトンタッチされました。丸山さんからは、内省と共有と焚き火を通じて、焚き火という場を使うと距離感が縮まることを体験してほしいというのがイベントの企画の主旨であり、ワーク、自炊、焚き火それぞれ単体ではなく全体を通して影響しあいながらお互いの距離が縮んでいくというメカニズムを体験してほしいとの説明がありました。

また、焚き火のときには具体的な指示はしないので、話したいことを自ら積極的に話し、相手の話に耳を傾ける。体験して対話して自ら気づき、それを組織でどのように活かせるのか、この場で得た学びを持って帰ってほしいということでした。

なお、焚き火理論についての説明は少しだけでしたが、タックマンモデルの4段階の形成→混乱→統一→機能。そのうち、混乱から統一につなげるものが焚き火ではないかと考えている、というようなお話でした。

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ワークでは、グループ分けを兼ねたアイスブレイクをやりました。たまごっちとジャンケンを組み合わせた遊び。細かいところは内緒にしておきます。勝ち抜けた順番になら並んで行きます。私はジャンケン3連勝!1位で勝ち抜けました(笑)。そして並んだ順、つまりジャンケンに強かった順に7名ずつでチームを区切っていきます。参加者は28名でしたので、7名×4チームができました。私はジャンケン勝者チーム、後にその強さを感じることになります。

次に、ロープを使ったワーク。それぞれのグループに課題が与えられ、私たちのグループは、目隠しをするなどの一定の制約の下、制限時間内に、ロープで相似の正三角形を作ると言うものでした。もちろん、その後に振り返りを行います。
私たちのグループは、どのように解決していくのか、どこまで主張して良いものか葛藤しながらも、うまく折り合いをつけながらほぼ時間内に完成させました。計画上はきちんとできたはずだったのですが、結果は残念ながら正三角形ではなく二等辺三角形ぽくなってしまいました。ただし、時間にも気を配りながら、主張するところは主張する、引くところは引き合意を形成し、目隠しの状態ではお互いに声をだしてコミュニケーションをとり、課題をこなすことができました。
結果としてのコンテンツ(相似の正三角形を作ること)は満足できませんでしたが、プロセス(結果に至る過程)については満足度が高かったと思います。制限時間内にできるだけの結果を出すという仕事の基本を守ることができたのも良かったです。
そしてリフレクション。ふせんに書き出して模造紙でグルーピングして、各グループで発表を行いました。

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ワークが終わったら自炊とキャンプです。グループごとに若洲公園キャンプ場へタクシーで移動しました。
若洲公園キャンプ場は、東京ゲートブリッジの近くで夜はライトアップされています。また、羽田空港に近いため、空は航空機が行き交う場所です。その下での焚き火ワークショップは都会と自然が混在した不思議な空間でした。

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グループごとに焚き火台と折りたたみチェアが配られ、焚き火の準備をしました。グループ内で自炊班と焚き火班に分かれて準備にとりかかります。炊事場ではグループごとに豚汁を作りました。ちなみにできあがった豚汁は自分たちのグループで食べるのではなく、他のグループに提供して食べてもらいます。

私たちのグループには、マタギから火の学んだという方がいて、着火剤を使わずに火をつけていました。素晴らしい。世の中、いろいろな方がいらっしゃるものです。どこへ行っても学ぶことはたくさんあります。

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メンバーが飲み物を取りに行ったときに写真をとってみましたが、東京都内とは思えない雰囲気です。暗闇の中で焚き火を囲むと、暖をとるために自然と炎の周りに人が集まります。素敵な空間です。

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午後8時を過ぎたところで、最後に直火可能な場所に焚き火を移して、その場で全員が輪になって中原先生のラップアップを聴きました。

ラップアップは、焚き火になぞらえて、人材育成では種火を消さないことが重要だよね。種火が残っていれば、新しいものを入れても火は燃えるけれど、いったん消えてしまうと再び火をおこすことは難しい。そして、皆さんが種火になって組織に火をともしてくれたらいいなと思います、というような内容だったと思います。

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自宅に帰ってから焚き火のことを思い出すと、つい数時間前のことなのに、何だか遠い世界のことだったような感じがしました。まさに非日常だったと思わせる感覚でした。

 

全体として振り返ると、グループを作るという「形成」、メンバーが違いに戸惑いながらも課題に取り組む「混乱」、そして混乱から統一へ向かう「焚き火」という一連の流れを短い時間で体験させていただきました。

寒くて周りに自分たち以外は誰もいない暗闇の中で、炎に吸い寄せられるように自然と焚き火のまわりに人々が集まります。いわば、自然と炎に焦点があい、何もかもが収束していくような感じです。

何も考えずに炎をぼーっと見ている時間もありました。また、人が集まれば、そこに自然と会話が生まれます。その会話の内容は、どちらかというと、未来の話というよりは、現状であったり過去であったりを振り返るような会話が多かったと感じました。

メンバーとの対話の中では、ダイアログ・イン・ザ・ダークの話も出ました。ダイアログ・イン・ザ・ダークは、完全な暗闇の世界です。暗闇の中で少し不安感もあります。暗闇の中では誰もが平等であり、話をしなければ存在しないと同じです。

焚き火の場合は、暖かな存在で、不安は感じません。話をしなくても、存在はそこにあります。非日常的な空間で落ち着いて安心感を感じながら、メンバーとの会話など、ゆったりと時間を過ごすことができました。冬の雪深いコテージなどで、暖炉の前で集まるのも同じような効果があるかもしれません。

昨年のラーニングイノベーション論の講義で、サイバーエージェントの曽山さんから、活性化している組織に共通するものとして、社員間に「メモラブルな共通体験」があるというお話を伺いました。焚き火という非日常的な空間は、まさにその具体例の一つだと思います。

これを普段の生活にどう活かすのか。もし家族の対話が減っていると思うのであれば、キャンプのようなアウトドア体験に出かけて焚き火をしたり、冬の暖炉のあるコテージなどに宿泊することにより、同じような場を作ることができると思います。ちょうどいいタイミングで清泉寮のブログに記事が目に入ってきました。


冬の楽しみ - 清泉寮だより

会社ではどうかと言われると、正直、焚き火は難しいですよね。河原でバーベキューとか…私の職場ではないです。それくらいできるような関係だったら、きっと焚き火ワークショップはいらないでしょう。もちろん焚き火のような強い非日常性を感じさせるものもよいのですが、普段の日常の中でちょっとした非日常を溶かしていけばよいのではないでしょうか。今、職場にある行事、慣習などを利用して、歓送迎会といった飲み会があるなら、その場で普段は行わないちょっとしたことをやってみる。そういったことの積み重ねで少しずつ関係性が変わっていくのだと思います。

最後に、今回、丸山さんそしてスタッフの皆さんには大変お世話になりました。リハーサル、事前の準備、事後の後片付けなど大変だったと思います。楽しくて思い出深いワークショップに参加させていただきありがとうございました。